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岩手への行き帰り [本]

 6/1-5の岩手震災ボランティアの行き帰りに読んだ本について。
 
 まず、往路は宮部みゆき『名もなき毒』読了。

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 やはりこの人の作品には本当に悪い人は一人も出て来ない。どんなに幸せそうに見える人でも何かしら心に屈託を抱えていて、それが人の「毒」となって表れる。作品の仕立て自体はミステリだが、内容がひどく深くてただ、ため息。

 盛岡への道のりは長く、JRの車内誌、「トランヴェール」(6月号)読了。
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「特集共に~東日本、明日へのメッセージ」を読んで、不覚にも一人でぼろぼろ泣いてしまう。高橋克彦、佐藤賢一、林望、池内紀、泉麻人、村松友視、津本陽、内舘牧子という豪華ラインナップでそれぞれの東北への思いを書いている。特に鶴岡出身の佐藤賢一の、「波風ひとつ立たなくて、何が悪い。静かな土地で何が悪い」というフレーズが沁みた。これは、東北が、「悪いことがないと、ニュースにならない」と言われたことに対する東北人としての反感だ。その「つまらないほど静かな日々」を取り戻すのが、東北人のプライドだ、という結びでまたぼろぼろ来てしまう。よかった!電車、すいてて。

 宿泊先で他のボランティア仲間と合流したところ、やっぱり同じのを読んで泣いてきた人がいました。

 帰りの電車は、半分爆睡してきたけれど、一冊は読めました。伊吹有喜『風待ちのひと』読了。
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 ポプラ社小説大賞受賞作。大人の恋愛小説で、主人公はいずれも39歳。舞台は紀州なのに、なぜかイメージが北陸になってしまうのは自分でも何の思いこみかよくわからない。新しい人生をやり直す話で、とても良い終わり方をしていて、すがすがしかった。
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ネム

東北が波風ひとつ立たない日常を取り戻すのは
いつになるのでしょうね…。
by ネム (2011-06-06 00:07) 

あーる

ネムさん
かなりの時間が必要だと思います。ただ、今回いろいろな方にお話を伺ったところによると、岩手の方は特に良くも悪くも「自分たちで何とかしたい」と思われる人が多いそうです。悪く言うと閉鎖的なのですが、自立心が高いとも言えますね。
by あーる (2011-06-06 00:27) 

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