ボランティア報告(その1) [現場]
とある企業人によるボランティアプログラムに参加して、6/1-5、岩手に行って活動をして参りました。
まさに百聞は一見にしかずという言葉がぴったりで、テレビの報道で見てきた被災地の様々な状況を自分の目で見て確かめることによって、改めて悲惨さもわかり、被災直後から比べ徐々に復興してきている様子もよくわかりました。拙い文章と写真ではありますが、見たこと・感じたことをご紹介します。
初日(6/1)はそれぞれで盛岡にやってきて宿泊先で合流ということで、ちょっと早めに行って、盛岡市内の様子を見ました。こちらは、ほとんど被害なし。
今回、私たちのグループは各企業から集まった12人。うち4人が女性、年齢も20代から定年間際と様々。業種も、メーカー、証券、保険、自動車、コンピュータといろいろですが、動機は一つ-「役に立ちたい」ということだけです。
翌日(6/2)は、朝7時に出発し、陸前高田のボランティアセンター(VC)へ。宿泊先の盛岡からVCまではバスで2時間ほどもかかります。
各ボランティアグループは、まずこういう各地のVCに行って、ニーズとのマッチングを受けますが、これがけっこう時間がかかったりします。寄せられたニーズをVCの人がニーズ表にして、場所・作業内容・依頼者名・必要な道具等をまとめているのですが、これがけっこう実情と違う場合があって、時間・労力が無駄になる場合も往々にしてあります。
今回の我々の仕事は、ある集落の津波をかぶった田んぼの片付けです。朝のうち雨が降り、地面がぬかるんでいるので、釘などの踏み抜き防止の鉄のインソールを入れた長靴を履き、上下レインスーツ、マスクにゴーグルという完全防備。蒸し暑いなんてもんじゃありません。
大船渡線は、本来あったはずの手前の砂利が敷かれた土手の上を大きく外れ、ねじれてはるか後方の泥田に柵のようになって突き刺さっています。この地域の民生委員のような方に説明を受け、くれぐれも怪我をしないで下さいと注意をいただきます。
波は、線路のある土手を越えて流れ込んできています。全員泥まみれになりながらの作業で、今はニオイはあまりありませんが、流れ着いたものには、家そのものの破片(壁、梁、柱、トタン等)、畳、衣類、食器や調理用具から、ステレオセット、古いレコードなどに至るまで、本当に「生活」そのものがすべて含まれています。プラスチックのコンテナに入った猫用のカリカリと、猫砂の袋も流れ着いていました……
人間の生活を丸ごと呑み込む自然の脅威には、絶句するばかりです。
道路から見ると、かなり高いところにあるように思うのですが、この家にも水が来たとのこと。元はこちらにお住まいで今は避難所暮らしをされている老夫婦の方が、気を遣ってわざわざコーヒーを淹れてくださいました。旦那様の方がリタイヤされてから陶芸を始められたとのことで、「今は先生と呼ばれる」方で、お教室を2カ所ももっていらしたとのこと。陶芸の作業場をキレイに片付け、割れていない陶器を棚に並べたら、とても感謝されました。「依頼者の顔の見える作業」なので、モチベーションも上がります。
ところで、ニーズ表の作業内容は「片付け」ということで、必要な道具としては「ゴミ袋」くらいしか書かれていませんでしたが、実際には重い建材を運ぶためにバラしたり等の作業もあり、バールが必要になって、あとで借りたりしました。その辺り、やはり無駄が多い。
感謝していただいたのですが、みんなで頑張っても、作業はとても完了とは言えません。みな、現場に心を残しながら、後ろ髪を引かれる思いで作業時間終了とともに引き上げです。
以下は、帰路の風景。
こうして、一日目の作業が終了すると、宿泊先で食事・入浴のあと、作業の振り返りのミーティングを行いました。注意点・改善すべき点などを出し合い、明日につなげます。
ただ、明日はまた別な現場で、どんな作業になるかわからない……というのが、ボランティアの作業なので、それが活かせるところに当たるのかどうかは予測がつきません。
また、宿泊先からVCに行くのに2時間もかかってしまい、いかにも無駄に思えるのですが、被災地近くの宿は避難民が優先的に泊まっているとのことで、どうにもならない状況のようです。避難民の方とすればやはりあまり自宅から遠くに住みたくないでしょうし、また、遠く離れてしまうと現場の復興ができないので、致し方ないようですが……作業者からすると、うーん、なんとかならないのかなあ、と思ってしまいます。ニーズ表も実情と違う場合が多いなど、問題点は多い。こうした作業が、効率一本槍でできないことだというのは理解できるのですが。
昨日初めて出会った会社も年も性別も違う12人ですが、大きな重い浴槽をみんなで力を合わせて転がして運んだり、チームワークよく作業を進めます。そつなく仕事をこなせる企業人ボランティアというのは、ボランティアグループの中でも評価は高いらしい。期待にはなるべく応えたい、と、みんな明日もやる気十分です。
盛岡市内で見つけたみちのくプロレスのポスター
まさに百聞は一見にしかずという言葉がぴったりで、テレビの報道で見てきた被災地の様々な状況を自分の目で見て確かめることによって、改めて悲惨さもわかり、被災直後から比べ徐々に復興してきている様子もよくわかりました。拙い文章と写真ではありますが、見たこと・感じたことをご紹介します。
初日(6/1)はそれぞれで盛岡にやってきて宿泊先で合流ということで、ちょっと早めに行って、盛岡市内の様子を見ました。こちらは、ほとんど被害なし。
盛岡城公園近く
古い建物も問題なし
唯一見つけた被害らしきもの。宣教師館という古い洋館
今回、私たちのグループは各企業から集まった12人。うち4人が女性、年齢も20代から定年間際と様々。業種も、メーカー、証券、保険、自動車、コンピュータといろいろですが、動機は一つ-「役に立ちたい」ということだけです。
翌日(6/2)は、朝7時に出発し、陸前高田のボランティアセンター(VC)へ。宿泊先の盛岡からVCまではバスで2時間ほどもかかります。
途中で出会った応援の中国管区機動隊の車両
「希望の一本松」をかたどったワッペン(300円)を売ってます
「なじょにかすっぺ」=「なんとかしよう」
女子トイレの看板がかわいかった
各ボランティアグループは、まずこういう各地のVCに行って、ニーズとのマッチングを受けますが、これがけっこう時間がかかったりします。寄せられたニーズをVCの人がニーズ表にして、場所・作業内容・依頼者名・必要な道具等をまとめているのですが、これがけっこう実情と違う場合があって、時間・労力が無駄になる場合も往々にしてあります。
今回の我々の仕事は、ある集落の津波をかぶった田んぼの片付けです。朝のうち雨が降り、地面がぬかるんでいるので、釘などの踏み抜き防止の鉄のインソールを入れた長靴を履き、上下レインスーツ、マスクにゴーグルという完全防備。蒸し暑いなんてもんじゃありません。
現場に向かう途中の風景。じわっと涙が出てくる……
現場前の堤防。わかりづらいですが、海側に倒れています
美容院から流れてきたのか……
これが作業現場
大船渡線は、本来あったはずの手前の砂利が敷かれた土手の上を大きく外れ、ねじれてはるか後方の泥田に柵のようになって突き刺さっています。この地域の民生委員のような方に説明を受け、くれぐれも怪我をしないで下さいと注意をいただきます。
船も乗り上げています
元線路のあった場所から入り江を望む
波は、線路のある土手を越えて流れ込んできています。全員泥まみれになりながらの作業で、今はニオイはあまりありませんが、流れ着いたものには、家そのものの破片(壁、梁、柱、トタン等)、畳、衣類、食器や調理用具から、ステレオセット、古いレコードなどに至るまで、本当に「生活」そのものがすべて含まれています。プラスチックのコンテナに入った猫用のカリカリと、猫砂の袋も流れ着いていました……
人間の生活を丸ごと呑み込む自然の脅威には、絶句するばかりです。
こちらのおうちの片付けも手伝いました
道路から見ると、かなり高いところにあるように思うのですが、この家にも水が来たとのこと。元はこちらにお住まいで今は避難所暮らしをされている老夫婦の方が、気を遣ってわざわざコーヒーを淹れてくださいました。旦那様の方がリタイヤされてから陶芸を始められたとのことで、「今は先生と呼ばれる」方で、お教室を2カ所ももっていらしたとのこと。陶芸の作業場をキレイに片付け、割れていない陶器を棚に並べたら、とても感謝されました。「依頼者の顔の見える作業」なので、モチベーションも上がります。
ところで、ニーズ表の作業内容は「片付け」ということで、必要な道具としては「ゴミ袋」くらいしか書かれていませんでしたが、実際には重い建材を運ぶためにバラしたり等の作業もあり、バールが必要になって、あとで借りたりしました。その辺り、やはり無駄が多い。
感謝していただいたのですが、みんなで頑張っても、作業はとても完了とは言えません。みな、現場に心を残しながら、後ろ髪を引かれる思いで作業時間終了とともに引き上げです。
以下は、帰路の風景。
千昌夫の建てたホテルとのことですが……
希望の一本松。塩害でかなり危ういそうです
骨だけになったビニルハウス
こうして、一日目の作業が終了すると、宿泊先で食事・入浴のあと、作業の振り返りのミーティングを行いました。注意点・改善すべき点などを出し合い、明日につなげます。
ただ、明日はまた別な現場で、どんな作業になるかわからない……というのが、ボランティアの作業なので、それが活かせるところに当たるのかどうかは予測がつきません。
また、宿泊先からVCに行くのに2時間もかかってしまい、いかにも無駄に思えるのですが、被災地近くの宿は避難民が優先的に泊まっているとのことで、どうにもならない状況のようです。避難民の方とすればやはりあまり自宅から遠くに住みたくないでしょうし、また、遠く離れてしまうと現場の復興ができないので、致し方ないようですが……作業者からすると、うーん、なんとかならないのかなあ、と思ってしまいます。ニーズ表も実情と違う場合が多いなど、問題点は多い。こうした作業が、効率一本槍でできないことだというのは理解できるのですが。
昨日初めて出会った会社も年も性別も違う12人ですが、大きな重い浴槽をみんなで力を合わせて転がして運んだり、チームワークよく作業を進めます。そつなく仕事をこなせる企業人ボランティアというのは、ボランティアグループの中でも評価は高いらしい。期待にはなるべく応えたい、と、みんな明日もやる気十分です。
(つづく)
もう帰ってきたの?(福)
……はい……
復興へ日々進んでいると言っても、あれだけの被害ですからまだまだ、なんですよね。
それを目の当たりにしながらの作業、肉体的にも精神的にもきつそうです。
日常にはあまりない作業だから、どうしても連絡とかもうまくとれないだろうし、不便なことも多そうです。
あーるさん、手術後なのに大丈夫なのですか??
by ChatBleu (2011-06-05 22:58)
ChatBleuさん
お気遣いありがとうございます。初期の頃に入ったボランティアはヘドロや死魚の腐臭に相当悩まされたようですが、今回我々の行ったところはそこまでではありませんでした。NPOの人たちも頑張っているのですが、なかなかマンパワーが追いついていないようです。
手術後の回復は順調、というか、もう運動も始めているので、全然問題ありませんでした。健康なればこそこんなこともできると思うと、ありがたいことです。
by あーる (2011-06-05 23:28)
お帰りなさい。
本当に本当にお疲れ様でした。
なかなか効率よくは行かないのでしょうけど
たぶん、これから先も長いのだ、と思うと、
体制作りも大切ですね。
by ネム (2011-06-06 00:28)
お帰りなさい。お疲れ様でした。被災された方お一人お一人の思いや現実を想像すると、たまらないですね。
通常の放送に戻ったテレビを見ながら、こんなばかばかしい番組をやっている場合なのか!?と憤りを感じることがしばしばあります。
ただ、そういう自分は毎日の生活に精一杯で、募金とか節電とか、ありきたりのことしかできていないのですが・・・
by チャコ&ミニ (2011-06-06 01:03)
こんにちは。
おかえりなさい。お疲れ様でした。
目の前にすると・・・まだまだ復興するには時間がかかりますね。
by green_blue_sky (2011-06-06 05:33)
ネムさん
効率や作業完了ということもあるけれども、「誰かが助けてくれている」という姿を見せることも大切なのだ、とNPOの方に言われました。ただ、今後も残る膨大な作業量を考えると、もっと効率的な体制をつくることは絶対必要だと思います。
チャコ&ミニさん
亡くなった方も、まだ行方不明の方もずいぶんいらっしゃるので辛いのですが、「遠くからありがとうね」と笑顔で迎えてくださいます。全員が現地に行く必要はないし、現実的でもありませんから、できることから何でもやれればいいと思いますよ。
green_blue_skyさん
かなりの時間が必要です。そしてまた、熱が冷めてボランティアの数が激減することをNPOの方々は心配していました。継続的な支援が必要です。
by あーる (2011-06-06 12:34)
ボランティア、本当にお疲れ様でした☆
こうしてみると、いまだに痛々しい様子なのが伝わってきます。
私はみちのくプロレスに惹かれました(笑)。
ちょっとでも、地元の人の励みになってくれるといいです。
by JUNJUN (2011-06-06 20:14)
JUNJUNさん
復興チャリティー大会、私もちょっとのぞいてみたい気がします。盛り上がりそうですよね!
by あーる (2011-06-06 21:00)
内陸から沿岸部に走ると、津波の被害地がいきなり現れますよね。
揺れで破壊されたところももちろんありますが、津波なんですよね、今回は…
by TAKUMA (2011-06-09 04:43)
TAKUMAさん
実際、あの落差には驚きますね。地震そのものによる被害はほとんど見られませんでした。
by あーる (2011-06-09 12:20)