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記録魔のおかげ

 松井今朝子『そろそろ旅に』読了。

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 武士から商家に婿入りし、町人となって戯作者の道を歩んだ十返舎一九の物語。
 なるほど、この辺りの人たちの公式記録が残っているわけではないから、下手すれば彼らの逮捕歴や記録魔の滝沢馬琴の筆になるものが残っていなければ定かには分からないのだな。
 馬面だが女に持て、さりとて武士も続けられず……ふらふらして腰が定まらない印象だが、こういう人はざらにいると思う。が、とにかくばかばかしいことをさらりと書けるのは才能だからなあ。
 ストーリーも面白かったが、この頃の女狂歌師のおねえさまがたの描写などが出てきてちょっと心引かれた。当時としては相当にぶっとんでいたんだろうな。

 アンドリュー・クレメンツ『はるかなるアフガニスタン』読了。

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 児童書だが、侮ってはならない。また、電車での帰り道にほろほろ来てしまった。作者は政治的な意図はないと言うけれど、たいへん大きな問題提起をしている。
 落第を逃れるための課題として、アフガニスタンの少女との文通を始めたアメリカの小学生・アビー。妹の手紙書きを手伝うきわめて優秀なアフガニスタンの少年・サイード。ほんのわずかな手紙のやりとりに過ぎないのに、じんわりと心が通い合うところが何とも……文通ってけっこうすごい、と思うとともに、アフガンの子供たちはたいへんだなあとしみじみしてしまう。文化習慣だから、と尊重したい気持ちもあるけれど、タリバンの極端さにはどうしてもやはり賛同できない。



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