SSブログ

歴史に「たら」「れば」はなくても [本]

 清水美和『中国はなぜ「反日」になったか』読了。

2012091920.jpg

 今日は、公安(政府)が動いたおかげで、反日デモは起こらなかった。が、当面在中日本人や日本企業には受難が続きそうな模様。領土問題は、これまでの何度かあった反日の動きとは違って長引きそうだが。
 作者は今年4月に58歳の若さで亡くなったジャーナリスト。東京新聞・中日新聞の論説主幹を務めた人で、この本自体は8年も前に出た新書だが、今読んでも「なるほど」と思わせられることがたくさん出てくる。朱鎔基・胡耀邦らの活躍した時代……朱鎔基はとにもかくにもその仕事をまっとうして退いたが、あのとき胡耀邦が失脚しなかったら……今の日中関係はまたずいぶんと違ったのかなあ、なんてついつい想像してしまう。
「歴史において、狭隘な愛国主義しかわきまえず、その結果、誤国主義に変質してしまった者は少なくない。中日両国の青年は歴史の経験と教訓の中から知恵を汲み取り、自分自身を愛国主義の情熱と国際主義の精神に富んだ気高い現代人に鍛えていくよう、私は望む」(胡耀邦)
 こんな言葉を言う人が失脚し、天安門事件の反動としてのきっつい愛国教育に走った結果が今のありさまなら、たいへんに残念だと思う。



nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 2

kontenten

ホント、この本は理科系の私にも興味津々
早速、アマゾンの欲しいものリストに入れさせて頂きました。
by kontenten (2012-09-20 09:57) 

あーる

kontentenさん
新書ってすぐに古くなっちゃうような気がしますが、これはある意味歴史書というか記録書として読める本だと思いました。だれもが賛同するかどうかはわかりませんが、私は何となく納得しちゃいました。
by あーる (2012-09-21 00:05) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0