小旅行-にわか乗り鉄(その2) [旅行]
横川駅に来た車に乗り込んだのは、私を入れて9人ほどでしょうか。車はどんどん細くなり、どんどん急になる山道を進みます。30分ほども上ったでしょうか、そこで……
フロントのおばあさんに聞いたら、この子、こんなにくつろいでいるけれども野良ちゃんなんだそうです。「茶色いから、茶々なんて呼んでますけどね。お客さんのお部屋にまで上がって、帰りに障子をばりばりしちゃうから困るんですよ」なんておっしゃる。
さて、お風呂ですが、女性客があまり多くなかったので、ちょっと撮影できました。
お肌つるつる、という感じのお湯でした。泡はあまりたちません。湯温はぬるめで、いくらでも入っていられる感じ。
素朴だし、変に凍りまくったマグロの刺身なんかを出さないのがいいと思う。メインは鮎の塩焼きと豚汁、そして山菜の天ぷら。お刺身はこんにゃく、さすが群馬! 食事は6時くらいに運ばれてしまうので、そのあとは……
フロントで地酒を買ったら、「グラスもあげましょうね」と、きれいなグラスを持たせてくれました。
さて、『人間の証明』、久々に読み返しましたが、何度も読んだはずの小説なのに、ずいぶんディテールを忘れているなあ。
80年代に初めて中国に行ったときに、ほとんどの人たちがMama,do you remember……と歌えるので驚いた記憶があります。新装版の後書きに森村先生も、「中国では相当に翻訳・出版されたらしい(印税は半分も入ってこないけど)」みたいなことを書いていましたが、向こうの書店で確かにたくさん(おそらく)海賊版を見かけました。初期の頃の中国版タイトルは『人間』だったと思う。もちろん、小説を読んだ中国人もたくさんいたのだと思いますが、なんといっても人々に記憶されているのは映画のようです。あの外国映画の上映が極端に少なかった時代に見られた日本映画だけに、印象が深いらしい。
最初に読んだときほど号泣はしませんでしたが、やっぱり西条八十の詩が何度か出てくるところで涙ぐんでしまう。
また、やはり新装版の後書きには、「棟居刑事は、最後は情に訴えて犯人の自供を引き出したが、この手法は現代でも通じるだろうか?」とあり、思わず「うーん」と考え込んでしまったりして。
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。
母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。
ついつい全文掲載してしまったけれど、この最後のあたりで、殺されたジョニー・ヘイワードの心情を思いやって、やっぱり泣いてしまうのでした……続く。
霧積温泉唯一の宿にだけ行く道のゲートを開けます
すると、程なく見えてくるのが
霧積温泉に一軒たたずむ「金湯館」
確かにこりゃ、秘湯だわ
い、犬は何匹いるのでしょう……
実際に迎えてくれたのはかわいい猫ちゃん
いらっしゃいませ()
フロントのおばあさんに聞いたら、この子、こんなにくつろいでいるけれども野良ちゃんなんだそうです。「茶色いから、茶々なんて呼んでますけどね。お客さんのお部屋にまで上がって、帰りに障子をばりばりしちゃうから困るんですよ」なんておっしゃる。
お散歩に出たお客さんについて走り回ったり
流しそうめん(?)のあとじゃないよね……
電気は30年前には来たといいますが
外のテラスにある自由に食べていい小梅
女将さん、お刺身こんにゃく、届いてますよ()
さて、お風呂ですが、女性客があまり多くなかったので、ちょっと撮影できました。
風呂場に続く傾斜した廊下
脱衣場
湯船はあまり大きくはありませんが十分です
お肌つるつる、という感じのお湯でした。泡はあまりたちません。湯温はぬるめで、いくらでも入っていられる感じ。
部屋。狭くて落ち着くのです
ご当地演歌歌手かな
もちろん森村先生も飾ってある
お夕飯。山の幸が盛りだくさん
素朴だし、変に凍りまくったマグロの刺身なんかを出さないのがいいと思う。メインは鮎の塩焼きと豚汁、そして山菜の天ぷら。お刺身はこんにゃく、さすが群馬! 食事は6時くらいに運ばれてしまうので、そのあとは……
新装版『人間の証明』を読み返しつつ
ちょいとくつろぐ
フロントで地酒を買ったら、「グラスもあげましょうね」と、きれいなグラスを持たせてくれました。
さて、『人間の証明』、久々に読み返しましたが、何度も読んだはずの小説なのに、ずいぶんディテールを忘れているなあ。
80年代に初めて中国に行ったときに、ほとんどの人たちがMama,do you remember……と歌えるので驚いた記憶があります。新装版の後書きに森村先生も、「中国では相当に翻訳・出版されたらしい(印税は半分も入ってこないけど)」みたいなことを書いていましたが、向こうの書店で確かにたくさん(おそらく)海賊版を見かけました。初期の頃の中国版タイトルは『人間』だったと思う。もちろん、小説を読んだ中国人もたくさんいたのだと思いますが、なんといっても人々に記憶されているのは映画のようです。あの外国映画の上映が極端に少なかった時代に見られた日本映画だけに、印象が深いらしい。
最初に読んだときほど号泣はしませんでしたが、やっぱり西条八十の詩が何度か出てくるところで涙ぐんでしまう。
また、やはり新装版の後書きには、「棟居刑事は、最後は情に訴えて犯人の自供を引き出したが、この手法は現代でも通じるだろうか?」とあり、思わず「うーん」と考え込んでしまったりして。
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。
母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。
ついつい全文掲載してしまったけれど、この最後のあたりで、殺されたジョニー・ヘイワードの心情を思いやって、やっぱり泣いてしまうのでした……続く。
噂通り秘湯なんですね!
実は、行ったこと無いんです...
(だって群馬はそこいら中に温泉があるので←言い訳)
猫ちゃんがお出迎えと言うのが何とも良いですね^^;
ps.今度群馬にお越しの際は、都合が合えば運転手致しますよ~(;^ω^)
by ひでぷに (2013-08-13 20:15)
古きよき日本旅館って感じでしょうか?
夏になると、こーゆーところも行ってみたくなります☆
座敷ネコは味があってかわいいけど、犬に関する貼紙は物騒ですね・・・。
by JUNJUN (2013-08-13 21:08)
おぉ~、なんだか素朴な感じのお宿ですね。
ニャンコのご接待がまた良いですねー。
by ChatBleu (2013-08-13 21:49)
犬がいつ出てくるのかと思っていたら、可愛い猫でしたね。
『人間の証明』本の題名も作家も、そして映画もその存在は知っていても、読んだ事も無く、映画も観た事が無いのに
『有名な一節』だけは何故か知っている(思えている)のが
不思議です。
野生の証明も森村誠一氏でしたっけ?
by RuddyCat-Lalah (2013-08-13 22:17)
ひでぷにさん
うわー、ありがとうごさいます。ただ私、にわかではありますが乗り鉄でもありますので、鉄道でてこてこ行くのも好きなんですよ。確かに群馬、どこでも温泉ですよね。
JUNJUNさん
古き良き、というよりは、ついこの間までランプの宿という感じですね。湯治場だったりもします。犬、フロントの奥に見え隠れしていたのですが、特に吠えついたりはされませんでした。
ChatBleuさん
にゃんこがまた,野良ちゃんとは思えないほど人になついていて、かわいいのなんの! だいぶなでさせてもらいましたが、おとなしくていい子でしたよ。
RuddyCat-Lalahさん
今読むと、ラストがちょっとセンチメンタルすぎると思う向きもあるかもしれませんが、傑作だと思います。角川映画になったので、『人間の証明』が「読んでから見るか、見てから読むか」、『野生の証明』が「ネバーギブアップ!」がcfだったかなあ。おっしゃるとおりどちらも森村先生です。
by あーる (2013-08-13 22:55)
ゆっくりくつろげそうなところですね~
のんびりとした。ニャンコたち、よくはしゃいで遊んでいます^_^;
by green_blue_sky (2013-08-13 23:18)
まさかの、金湯館でした^^;Aアセアセ
高校生の頃、一週間霧積温泉に泊まりました。
いえいえ、そんなに裕福でなかったので
最初と最後の一泊だけ金湯館に宿泊しました。
でも、事情を話したら、お風呂だけは使用OKって事で
キャンプをしながら、霧積温泉に入れて頂きました(^^)
当時は、鮎に似た外来種の魚がメインで、あとは葉っぱの
天ぷらが美味しかったです。
Mama,Do you remember the old straw hat you gave to me ・・・♪
by kontenten (2013-08-14 00:29)
昔は『秘湯…』のスタンプいっぱい集めてたのですが、ここは行ったことないなぁ。
またやりはじめようかな。
by TAKUMA (2013-08-15 10:51)
green_blue_skyさん
ほかに出て行ってみるところもなく……本当にのんびりしました。女性が少なかったのもお風呂がすいていて良かったし。できることって虫取りくらいかなあ。子猫たち、かわいいでしょうね。
kontentenさん
ジョー山中、2年ほど前に亡くなりましたが、あの歌、良かったですよねー。しみじみしてしまいます。私が食べた夕食も、葉っぱのてんぷらが出ました。香ばしくて美味しかった!
TAKUMAさん
秘湯スタンプなんてあるのですか? 知らなかったー。
霧積温泉、人生考えるにはなかなかいいところですよ。ただ、フロントに人がいないことが多いからお酒は持っていったほうがいいかなあ。
by あーる (2013-08-15 12:21)