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モノではないから [本]

 石井光太『遺体 震災、津波の果てに』読了。

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 『走れ! 移動図書館』の中に出てきたので、借りて読んだ。大変重いルポルタージュ。
 震災が起こった直後、もちろん外部の人間は警察・自衛隊・ほんの一部のボランティアしかまだ被災地に入れなかった時にも、地元の人たち(医師、消防団、僧侶、歯科医……)による遺体運搬、安置、検視等は行われていたのだ。元葬儀業者も、僧侶も、自分たちも被災しているが、自分のできることを精いっぱいやらざるを得ない状況……目に見えないこういう人たちが、案外大変な縁の下の力持ちで、地元の人たちの癒しになっていたのかと思う。それにしても、魂はなくなっても、人の遺体は単なる「モノ」にはならないのだと、実感する。

 影山直美『湘南いそいそ家飲み日記』読了。

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 酒飲みとして共感はできる部分も多いし、いろいろ参考になる一冊だった。でも、やっぱりいくら普段飲みでも、紙パックの日本酒は嫌だなあ。居職になればこんな生活もできるのかなあ。

 佐々涼子『たった一人のあなたを救う 駆け込み寺の玄さん』読了。

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 新宿歌舞伎町でNPOの駆け込み寺を開く玄秀盛を取材したルポ。
 悲惨という言葉でも語りつくせないほどの辛い育ち方をして、そこから這いあがった玄が、すべてをなげうって人の悩み相談を受けるNPOを立ち上げ、そこにやってくる人々とのやりとり……今の状況(相談者とのやりとり)だけを書いても十分面白いけれど、彼があまり話したがらない「過去」をきちんと聞いて書いているからこそ言葉一つ一つに説得力が出てくる。ライターの仕事って、大変だなあ。


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コメント 2

溺愛猫的女人

こんばんは

この本も借りて読んでみます。
ご紹介ありがとうございます。
by 溺愛猫的女人 (2014-08-16 20:52) 

あーる

溺愛猫的女人さん
おすすめです。ちょっと辛いけど。
by あーる (2014-08-17 12:30) 

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