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中国の悲しみ [本]

 余華著・飯塚容訳『死者たちの七日間』読了。

死者たちの七日間.jpg

 これ一冊で、現代中国の(特に都市部)の抱える問題がすべて理解できると同時に、小説としてもかなり優れている。それにしても、なんでこんなに中国現代文学にはラテンアメリカ文学の影響があるのかしら……と思う。まるでガルシア・マルケスみたいな香り。
 拝金主義、売春、地上げ、食品問題、そしてどうしようもない貧富の格差……これらの問題をすべて入れ込んで、これほど読める作品を作るなんて! と、ただただ、感心してしまった。悲しい話だけれども。
 原題は『第七天』。そのまま訳せば「七日目」でしかなく、キリスト教的な裏の意味があるらしいけれども、作者は訳者を尊重したという。まあ、この方がわかりやすいよね。

 葉室麟『蜩ノ記』読了。

蜩ノ記.jpg


 すがすがしくも悲しい名作。一気に読んでしまって、ちょっともったいなかったかな。
 


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コメント 2

溺愛猫的女人

こんばんは

蜩ノ記は映画を観てから読みました。清冽な武士の生きざまに涙しました。
by 溺愛猫的女人 (2016-01-23 19:19) 

あーる

溺愛猫的女人さん
最近、めぼしい小説はみんな映画化されていますね。
この二冊は甲乙つけがたいですが、もっと皆さんに読んでいただきたいのは余華の方かなあ。現代中国の問題がものすごくよくわかります。
by あーる (2016-01-24 09:10) 

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