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方言で書く [本]

 西加奈子『きりこについて』読了。
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 面白かった。とてもよい「ぶす」が出てくる。ひとりひとりがみんな幸せになって、読後感がとても爽やか。関西人にしか出せない語感・感性があって、ちょっとくやしい。
 関東近県の人(?)に、大阪人嫌いが多いように思う。たしかに(東京を唯一の都会と考えた場合に)ちょっと大きいがしょせんは地方都市の人間のくせに、妙に自信ありげに田舎の文化・習慣をこてこてと押しつけに来たような人ばかりが非常に目について、気に触るのだろう。それがちゃんと客観視できている人も大勢いるが、そういう人は逆に目立たない。
 自分は、大阪を含め、いろいろ方言を使った小説が好きなので、関西弁にしか出せないニュアンスのようなものが面白いと思うし、自分に害をなさない限りよいと思っている。
 個人的な感想だが、大阪人を「大嫌い」と言ってはばからない人は、生粋の東京の人にはあまりいないように思える。中途半端な「首都圏」の人によくいるようだ。生粋の東京人は、他人がどこ出身だとかそういうことをあまり考えたことがないように思う。おそらく、バカにしているのではなくて、純粋に興味がないのだ。それに、年代にもよるが、『坊ちゃん』のお清のように、「箱根の先ですか、手前ですか」くらいの地理感しかない人もいる。いつも地下鉄に乗っているから(車を運転する人は別として)、とんでもない方向音痴の人もいる。最初は驚いたが、東京から出る必要のない人たちは、そんなものかもしれない。旅好きの自分には、正直羨ましくも何ともない。もちろん、小林信彦のような、東京人でなければ出せない味や感性のある小説を書ける人はとても羨ましいのだが。
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