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あの海の表情 [本]

 宮部みゆき『黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続』読了。

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 うかつにも「五」を飛ばしてしまったような気がする。前の聞き手の「おちか」結婚のところを見逃したまま、次の聞き手の富次郎に移ってしまった。まあ、もう一回読み返せばいいのですが。四話入った本は、よりによってハードカバーでまあ重いのなんのって。この手は文庫本で借りないとダメだなあ。それはそうと、一話目から四話目までどんどん長編になっていっているようだが、どれも面白かった。ただ、定飛脚の話はちょっと悲しすぎて……(涙)。

 今村夏子『父と私の桜尾通り商店街』読了。

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 タイトルから察して、ほのぼのしみじみした人情もの的な話かと思ったら、どれもこれも日常にはらむ狂気が垣間見える怖い作品ばかり。背筋が寒くなる、が、面白い。が、リピするにはちょっと、さらに取り返しのつかない怖い話が降ってきそうでちょっとしり込みしてしまう。

 阿部結『なみのいちにち』読了。

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 気仙沼生まれの作者が描いた、海の絵本。どの絵も海の表情をとらえていてとても美しく、生者も死者も包み込んでいく。なんか、泣けてくる。


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次に待っている人がいるのでどんどん読んだ4冊 [本]

清田隆之(桃山商事)『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』読了。

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 男でも女でもひとくくりにして言ってしまうのは間違いだと思う。ここでは「ごく一般的」といわれる男性の赤裸々な自ら語りが出てきているが……へー、そんなこと考えてるんだー、というほど意外でもない。が、あんまりこういう人たちとは深くかかわったことはないかもな、とも思った。それにしても桃山商事=「恋バナ収集ユニット」って、なんだそりゃ。

 宮部みゆき『さよならの儀式』読了。

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 SF宮部みゆき。ダークファンタジー宮部みゆきと同様、なんとなく違和感があるんだよなあ。不思議な(そして少し暗い)未来があるのだけれど、好き嫌いの分かれる短編集。

 新川帆立『倒産続きの彼女』読了。

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 表紙は紛れもなくラノベで、中身もちょいと軽い感じではあるが……ちゃんと作者も弁護士さんだし、リーガルミステリーと言えるのかも。あくまでエンタメとしては面白いが、ミステリとしては若干突っ込みどころもあるかも。

 中島京子『ムーンライト・イン』読了。

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 感動した。元ペンション「ムーンライト・イン」に集って暮らす年齢も経歴もばらばらな男女の織り成す物語。一見幸せそうな波風のない日常が、一人一人の抱える秘密のために、だんだんと崩れ、変わっていく。いつかは崩れ、起こるべき変化ではあるけれど。フィリピン人の女の子のキャラが秀逸だった。


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あの子供たち [本]

 塩田武士『罪の声』読了。

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 あのグリコ事件をモチーフとして、あのテープの声を吹き込んだ(吹き込まされた)子供たちのその後を想像して書かれた長編。面白すぎて、真実のように思えてしまうが……あんな風な重大犯罪に子供を巻き込むおとなというのはどんな人たちなのか。実際、この物語のような感じだとかなり残酷だ。

 ティエン・ユエン『ねことおばあさん』読了。
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 この絵本のテーマは、輪廻転生、ということなのだろうか。ちょっとわかりづらいけれども、絵はかわいいと思った。


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電車でもりもり読んだ本 [本]

 ピーター・トレメイン『修道女フィデルマの采配』読了。

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 アイルランドの王族の娘にして司法的にかなり高位の資格を持った修道女というなかなかにして複雑な(日本人からすると)感じのスーパー・ヒロインではあるが、なんというか、キャラが人間味にあふれ、親しみやすいことから楽しく読める。胸のすくような推理と裁定が気持ちいい。ただどうしても注釈は多くなるよなあ。

 ジェフリー・ディーヴァー『エンプティー・チェア』(上・下)読了。

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 いつもながら面白い! 今回はアメリアもライムも相当なピンチだったが……犯人と思しき少年のキャラや、無理やりライムの助手に駆り出された海洋学を学ぶ学生さんがなかなかいい味を出していた。また当分はこのシリーズ、読むかな。

 辻村深月『ツナグ』読了。

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 映画化しているようだが、見ていない。いったい、死んだ人一人に会えるとしたら自分はどうするか、そして、誰に選ばれるか……知りたいような、怖いような。


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力作! [本]

 チョン・セラン『フィルティ・ピープル』読了。

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 50人のエピソードは一つ一つは短いながら、一気に読むとかなり疲れる。が、とても興味深くて、読み終わるころには、最初からちゃんと相関図とか作っておけばよかったなあと後悔。一つ一つに今の韓国が詰まっていて、隣の国の人たちが一人一人何を悩み、生きているのかがとても身近に伝わってくる。それにしても、韓国のお医者さん、大変だな(開業医は別なのか?)。『保健室の……』を読んだときはなんだかぴんと来なかった作家さんだが、これは力作。

 村田喜代子『飛族』読了。

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 東シナ海に浮かぶ島に暮らす老・海女二人とその娘。単純に田舎に暮らす年寄り、というだけではない問題がたくさん詰まっているが、これもまたとても面白い小説だった。一人でも人間が住んでいればインフラ費用が莫大にかかる孤島だが、無人島になってしまえば無防備な場所が国境の最前線に残される……幻想的であり、現実的であり、いろいろと考えさせられた。

 村田紗耶香『生命式』読了。

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『コンビニ人間』の人。面白いけど、強烈な発想。確かに気持ち悪くなる人もいるだろうなあ、と思うけれども、ほんの二、三十年もあれば人の心も流行りも変わるのだから、こんな時代が来るかもしれないな、と少しだけ考えたりして。


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犯罪×2 [本]

 高橋ユキ『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』読了。

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 山口県の限界集落で起こった、住人による住人に対する放火殺人……「つけびして 煙愉しむ 田舎者」という、なんとなく衝撃的な句とともに現代八墓村なんて言われて、すごく興味があったけれども、このレポはちょっと拍子抜け。真実はもうひとつわからないし……。

 奥田英朗『沈黙の町で』読了。

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 大長編で、こんなに引っ張るとは思っていなかったけれど、最後の真相解明の部分で背筋が寒くなった。少年犯罪の恐ろしさというか、子供も嘘をつくことなんてわかってはいるけれども……。


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言葉の海に [本]

 乙川優三郎『ロゴスの市』読了。
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 調べてみると結構読んでいる乙川優三郎先生の究極の恋愛小説。三鷹の大学で英語を学んだ二人のそれぞれの道と、悲恋。どうにもこうにもすれ違う感じがたまらず恋愛小説だけれど、二人が二人ともあまりに求道的すぎて……やはり、語学で食っていこうとすればこのくらいのことはしなくちゃいかんのだろうなあ、と改めて反省。

 西加奈子『ふくわらい』読了。
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 グロな描写も多いけれども、これもまた究極の魂の小説と言えるのだろうと思う。インパクト大。だが、どちらかといえば、主人公は守口とうまくいってほしかったなあ。ただ、これからの展開も十分感じられる終わり方。

 花福こざる『花を育ててみたいのですが』読了。
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 さほど珍しい花を取り上げているわけではないが、それぞれやはり気を付けるポイントがあるのだな、と感心。枯らしちゃうからねえ、たいてい。


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なんか、暗め [本]

 神津凛子『サイレント 黙認』読了。

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 これは、ダメだ。気色悪いし、キャラがみんな極端だし、だいたいにおいて、誰が犯人か私に最初から当てられるようじゃちょっと……オゾミスなんていう言葉もあるんだな、今どきは。

 宮部みゆき『淋しい狩人』読了。

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 下町の古本屋を舞台とした連作短編ミステリだが、なんとなく夜の雰囲気で、暗い雰囲気と裏寂しさがある。好きだけれども、あまり救いのある話ではない


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いいな、図書館 [本]

 新名智『虚魚』読了。

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 第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞<大賞>受賞作。どちらかというとホラー側。こういう理由で怪談を集める人もいるのか、と動機づけが斬新。面白かった。

 レイチェル・クシュナー『終身刑の女』読了。

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 悲惨な話。アメリカでどうやって犯罪者が生まれていくのかがよくわかる話。長いのに読んでしまうのは、リアリティがあるからかな。

 福井県立図書館『百万回死んだねこ』読了。
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 図書館のリファレンス機能をアピールするために作られたのが最初のようだが、これは面白い! 図書館員の勘と教養を試されるというか……あー、何とか図書館で働けないかなあ。異動できないかなあ。


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なんか、いろいろですが [本]

 千葉一郎『ちばあきおを憶えていますか 昭和と漫画と千葉家の物語』読了。

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『キャプテン』『プレイボール』と、地味だけれども名作を生んだ、ちばてつやの弟、ちばあきお。41歳の若さで亡くなったちばあきおの生涯を息子が書いた本。もちろん、兄・ちばてつやが挿絵を担当。てつやの四兄弟がみんな何らかの形で漫画にかかわっていたのは知らなかった。地味な画風だし、内容なのになぜか読まされてしまう漫画だったなあ、と今思い出す。それにしても、ちばてつやの描いた弟の似顔絵、そっくりだなあ。

 養老孟司、中川恵一『養老先生、病院へ行く』読了。

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 18歳で亡くなった愛猫・まる。そして、50代以降一度も健康診断をしていなかった養老先生が、どうにもこうにも体調不良で医者にかかった。東大の解剖学教室にいた先生が、医療システムに取り込まれることが嫌で医者通いをしていないが、愛猫には死んでほしくはない。ただ、猫は死が近づいてもじたばたと生きようとはしない……様々な矛盾をはらんだ生と死と医療の問題が取り上げられていて、とても面白い本だった。まるちゃん、安らかに。

 吉川トリコ『少女病』読了。

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 少女小説家の母と娘たちの一家……なるほど、少女病とは言いえて妙な。女きょうだいもいないし、こういう家に育ったわけではないが(こんな家、ないし、普通)……激烈に面白かった。やっぱり吉川トリコさんは面白い!


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