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法医昆虫学 [本]

 マディソン・リー・ゴフ『死体につく虫が犯人を告げる』読了。
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 まー、ちょっとした勉強のために読んだ本だが、おもしろ気持ち悪い。人間も、食物連鎖のトップに立ちながら、死んだらやっぱり小さな虫たちのエサになる。それはハエの子供であるウジ連中だったり、ダニだったりするのだが、そのたかり具合で犯行時刻がわかったりする、という話。『羊たちの沈黙』にも、そんな蛾の蛹が出てきたのを思い出した。
 面白かったのは、生きた人間の傷にたかるウジが必ずしも人間に害を及ぼすとは言えない、ということ。1799年ナポレオンに従軍した外科医によれば、戦いで負傷した後戦場に長らく放置されて傷口にウジが育ってしまった兵士の法が、直ちに応急処置を受けた兵士よりも回復の可能性がずっと大きかったのを観察し、記録した。というのは、ウジは死んだ組織だけを食べ、いかなる医師よりも効率よく死んだ組織を取り除いたから。それに加え、摂餌中のウジが排泄するアラントインという物質が治療を促し、感染を防ぐのに役立ったというから、不思議なもの。寄生虫が宿主を殺したくないのと同じようなものなのかしら。実際にたかられたらすごく嫌だと思うけど、そんなこともあるんだなあ。
 法医昆虫学という学問は、日本ではその名前で確立されているのかどうかわかりませんが、ネットで調べると、けっこう論文があるのでした。
 作者はハワイ大学の昆虫学教授で、ハワイという場所の特殊性も結構ありそうですが、案外面白く読めました。

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