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願はくは…… [イベント]

「花のもとにて春死なん……」と、西行法師が詠みましたが、4月25日早朝、8月以来脳梗塞の再発で倒れて意識が戻らなかった父が、郷里仙台の病院で亡くなりました。享年80歳でした。

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折しも仙台の桜は満開

 母は施設にいて、ちょっと葬儀や通夜に出席できる状況ではないので、喪主は長男である弟が務め、私はサポートに回りました。
 二人で25日に飛んで帰って、葬儀屋さん、お寺さんと親戚を交えて打ち合わせを行い、最短26日通夜、27日葬儀の段取りを決めました。父には兄一人、姉三人がいずれも仙台に健在なのですぐに集まれて、意見を聴くことができました。
 高齢で、もともとあまりたくさんの付き合いをしていなかったので(最近では年賀状も数えるほど)、ほとんど家族葬のような形の小ぢんまりした通夜・葬儀を行うことにしました。それでも当日は、猫マスターの友人と、弟の上司、そして私の上司がわざわざ東京から参列してくれて恐縮しました。でも、なんとなく嬉しかったり。弟は、一年で一番忙しい決算期に仕事を放り出して帰省したのでかなり気が引けているようでしたが、まあ、非常事態だからしょうがない……。

 25日と26日の夜は、父の遺体を安置した斎場の隣の部屋に弟と二人で泊まりこみました。そして、通夜・葬儀・火葬・繰上げ法要を済ませ、その後弟の強い意見で、父の遺骨の箱を持って母の施設の近くを車でぐるぐると回りました。そして、その後遺骨はお寺にお預けしました。四十九日ごろの納骨までの間、仙台の無人の家に置いておくわけにはいかないからです。この一連の行事を26・27日の二日間で済ませました。
 いつもはこうるさいおばさまもあまり面倒なことは言わず、また、いとこやその子供たちの協力もあって、この二日間の行事を割合スムーズに運ぶことができ、姉弟ともどもほっとしました。

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 めまぐるしい二日間でしたが、それを差し引いても、今回私はあまり悲しい思いが湧いてきませんでした。
 親不孝な娘ではありましたが、父にはずいぶんかわいがってもらったと思います。高校を出て郷里を離れると言ったときにも、一度は反対したものの、すぐに諦めてくれましたし、リュック一つで異国をさまよい歩いていても怒るようなことはありませんでした。べったり仲のよい親子ではありませんが、関係は悪くはなかったと思います。その父がいなくなってしまったのは、悲しむべきです。
 しかし、倒れて8ヶ月、特に長期療養型の病院に移ってからは、意識が戻る見込みもほとんどなく、ただ管につながれて寝たきりの父を見ているのは辛かったのです。体調は決して上向きにはならず、何度かの危機を乗り越えはしたものの、やはり全体的には悪いほうに向かっていました。体力の低下に伴い、褥そう等もどんどん治りにくくなって、枕元には寝かせ方の指示の写真が増えていきましたし、皮膚なども目に見えてカサカサになって、はっきり新陳代謝が落ちているのがわかりました。その様子を見ているうちにゆっくりと、父の「死」に対する覚悟が私の中で育っていったように思います。
 今回参列してくれた近い親戚の人たちにも、あまり取り乱す人はいませんでした。それは、やはりみんな知らず知らずのうちにそういう覚悟ができていたからなのでしょう。これからじわじわと悲しくなってくるのかもしれませんが。

 今後は納骨までの間に仏壇・位牌の準備、そしてその他もろもろの細かい手続きなど、やらなければならないことがまだたくさんあります。父の存在をもしかして忘れている(?)のかもしれない母にも、いつか何らかの形で父が亡くなったことは教える必要もあるでしょう。遺品の整理も少しずつ手をつけなければなりません。
 ただ、今後は父の病院からの突然の電話に怯えることはなくなりましたので、弟とともに少し落ち着きを取り戻しつつ、粛々と作業を進めていきたいと思います。明日、母の施設の運営懇談会に弟と一緒に出席したら、私はひとまず猫らの待つ家に戻ります(その間の面倒は猫マスターが見てくれています)。

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庭に咲いていた白いスミレ


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green_blue_sky

ご愁傷様です。急なことで・・・
ナイスは亡くなられたお父様に贈ります。
悲しみは・・・これから大変ですので、ご自愛してください。
by green_blue_sky (2012-04-28 17:38) 

あーる

green_blue_skyさん
ありがとうございます。確かに最後はあっけなかったのですが、何しろ8ヶ月も寝たきりで、本人も辛かったのがようやく楽になったと考えています。暖かな季節なのがせめてもでした。
by あーる (2012-04-28 17:58) 

ChatBleu

このたびはご愁傷様でした。お悔やみのniceを。
あーるさんの気持ち、なんとなくわかるような気がします。
私の父も、手術、退院、再入院、と繰り返して亡くなりましたが、
発病後、できるだけのことはしようと割り切って過ごしてましたし、
近いうちに亡くなるのだろうと覚悟もありました。
ただ、母は納得していなかったようで、今でも、ほかの病院に行けば
治ったんじゃないかとか、いろいろ悔やんでいるようです。
そこが、妻と娘の違いでしょうか。
とにかく、お疲れ様でした。

by ChatBleu (2012-04-28 20:26) 

che

お父様のご冥福をお祈りします。
義父も同じく闘病が長かったのでご心中お察しします。

by che (2012-04-28 20:33) 

kontenten

お葬式、大変でした。
また、この度はご愁傷様です。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
by kontenten (2012-04-28 21:34) 

JUNJUN

ご愁傷様でした。
お父様、1年で一番美しい時期を選んで逝かれたのかもしれませんね。
あーるさんご自身の疲れを、あとはゆっくり癒してください。
by JUNJUN (2012-04-28 22:41) 

あーる

ChatBleuさん
ありがとうございます。確かに、残されたものの思いは、また人それぞれですよね。娘と息子でも、ちょっと感慨が違うのかもしれないし。

cheさん
長患いは、周りも本人も辛いものですよね。特に今回父は意識が戻るあてがなかったのがちょっときつかったです。ありがとうございます。

kontentenさん
ありがとうございます。葬送の儀式については、しっかりとした葬儀屋さんが指導をしてくれたので、とても助かりました。こういう時に自分で考えずに済むのはありがたいことですね。

JUNJUNさん
ありがとうございます。とんだ西行法師ですが、桜の花の散るように……と言うと美しすぎますけれども、暑い夏よりも暖かな春を選んだのかもしれません。
by あーる (2012-04-29 00:09) 

りる

このたびはご愁傷様です。大変でしたね。
私も父を亡くしていますが、
苦しんでいる様子をただ見ていることしか出来ないのは辛いものです。
葬儀の後も色々とお忙しいとは思いますが、ご自愛下さいね。



by りる (2012-04-29 02:33) 

のらん

突然のご不幸、ご愁傷様です。
春の花に見送られて、静かに逝かれたのでしょうか。
どうぞ、安らかに。
あーるさんも、お疲れの残らぬよう、ご自愛ください。
by のらん (2012-04-29 14:30) 

チャコ&ミニ

このたびはご愁傷様でした。
この頃パソコンを開く時間があまり取れなくて、今日kontentenさんのところへ伺った折コメントから「!!!」とすっとんできました。
うちも昨年7月に父を亡くしましたが、あーるさんのお父様と似たところがありました。母、妹とともに見送ることができ、ほっとしたような気にもなったのを思い出します。
葬儀はその後も何かとしなくてはいけないことが出てくるものです。くれぐれもご自愛くださいね。
by チャコ&ミニ (2012-04-29 19:47) 

あーる

りるさん
ご心配いただきありがとうございます。なかなかに忙しかったですが、今後は郷里からの電話に怯えることもなく、ちょっと精神的にはゆっくり出来ます。

のらんさん
ご心配いただき、ありがとうございます。父は暑い時期に倒れましたが、よい季節に逝ってしまいました。気を遣ってくれたのかしら。

チャコ&ミニさん
お久しぶりです。お忙しかったのですね。いずれは来る日ではありましたが、とうとう逝ってしまいました。悪いと思いつつ、少しは安堵の気持ちが出てしまいます……
by あーる (2012-04-29 20:47) 

hisa

お疲れさまでした。
合掌。
by hisa (2012-04-30 11:34) 

あーる

hisaさん
ありがとうございます。
by あーる (2012-04-30 11:48) 

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