またまた全然違う2冊

　杉本苑子『逆髪』読了。

　かなりえぐい復讐譚がぎっしり詰まった短編集。特に表題作の怖さは群を抜く。せっかく美人で高貴な生まれなのに、きっつい天然パーマのためにろくな嫁入り先が期待できないお姫様……何とも気の毒な話だが、プライドを傷つけられたところから悪魔のような復讐が……お・も・し・ろ・い！！　痛快というには惨すぎるけれども。
　次に、柚木麻子『終点のあの子』読了。

　第一作目に載っている『フォーゲットミーノットブルー』がオール読み物新人賞ゲットの作品。一見真綿にくるまれたような恵まれた仲に育つ、名門私立女子高生達のそれぞれの物語。どうしても一番同調できるのは、ブスでも我が道を行くインテリ家庭に育った読書好きの女の子だが、その子に憧れながら、同列に見られるのだけは耐えられなくて裏切ってしまう美人の子が一番いいキャラかも。広島の元ヤンキーで、実際はすごくいい子の杉ちゃんは、ちょっと出来すぎだな。若いとなかなかこうはいかないものです。

タグ：逆髪 杉本苑子 柚木麻子 終点のあの子 短編集 連作短編 オール読み物新人賞