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コップの中の嵐でも [本]

 瀬尾まいこ『温室デイズ』読了。
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 1学年2クラス、1クラスの人数が23人というのだから、現代の小中学校なんだろうと思う。自分自身の中学時代は、校内暴力全盛期をほんの2~3年外れているので、あまりひどい目にはあったことがない。いじめっ子もいたし、いじめられっ子もいたけど、けっこう間に立つやつもいて、いじめにも加減があった。それに、かばったやつにいじめが転じるということもあんまりなかったと思う(つまり、やっぱりいじめられる子にはいじめられやすいポイントがあるということか……)。でも、この作品を見ると、相当やばいところまで来ているなー、と思う。さすがに作者が現役教師だけあって、かなりリアルに書いてあるし、別室登校とか相談室なんてものが存在することも知らなかった。親がヤクザで、自分にはきっと父親と同じようにひどいことをしてしまう「血」が流れている、と悲観する不良の子がかわいそうで、涙が出た。
 子供がこんなに悩んでいても、しょせんは義務教育の学校という「温室」の中の出来事であり、コップの中の嵐だという逆説的なタイトルではあるが、「温室」から出るまでの試練は、案外長く、厳しいと思わせる作品。
 同じ作家の『卵の緒』とか『図書館の神様』とは、ちょっと違ったタイプの話だった。

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