SSブログ

伝説多き人たち [本]

 矢吹晋・藤野彰『客家と中国革命 多元的国家への視座』読了。

2011070201.jpg

 昔「可」をありがたくちょうだいした矢吹先生の新しいご著書。仕事をしてからの方がちゃんとお目にかかる機会が多くなった。
 シンガポールの第一世代の指導者はほぼ客家で占められているらしいし、孫文も客家、そして中国の革命の英雄に挙がる人たちの多くも客家、タイのタクシン元首相も客家……。確かに90年代初めに、「中国人は客家がエライ!」的な本がたくさん出て、「ホントかよー」と思いながら読んだ覚えはある。が、この本を読んでみると、中国社会における客家の存在が、単純に礼賛されるだけの存在ではないことがわかってくる。とはいえ、やはりとらえどころのなさは残る。何しろ、「中原から移動してきた漢民族」ではあるが、移動先各地の少数民族との混血も起こり、土着化して客家としての文化・言語も失っている人たちもいるし、自分たちが「客家」であるかどうかわからなくなっている人たちもいるというくらいだから……。
 中華人民共和国建国前に共産党の内ゲバで殺された江西辺りの土着の客家勢力の話など、ある意味中国共産党史としては半ば封印された話なども出てきて興味深かったが、決して「タブー」ではないものの、一時期の日本における「客家ブーム」のように、すべてが華々しく取り上げられるだけの存在ではないことは確かのようだ。
 延安における凄まじい内ゲバ(客家だけの話ではないが)の話を読んで、ようやく昔見た映画『レッドチェリー』のシーンが理解できたりして。今頃。


人気ブログランキングへ


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0