不思議なリアリティ

　三崎亜記『となり町戦争』読了。

　第17回すばる小説新人賞受賞作。
　となり町と密かに戦争が始まるというあり得ないシチュエーションなのに、行政文書が一つずつ出てくるたびに、現実味を帯びてくる。ラストがとても悲しかったのに、なぜか涙のでない乾いた悲しみの描き方。ものすごくユニークで、映画にしたいところだが、日本映画にするとどうしてもおもしろおかしい脚本や演出にしようとして、この味わいは失われそう。斬新なアニメか、アキ・カウリスマキ監督か、その辺りの人に作ってもらったらいいかも。

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