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体臭のある小説 [本]

 中上健次『蛇淫』読了。
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 貧しいのにか、或いは貧しいからか、欲望のままに生きている底辺の人々を描く。夏の夜にうごめく人たちの体臭が立ち上ってくるような小説。ちょっと辟易とするところもあるけれど、他の人には書けないものが確かにあるので、凄いと思う。同作家のこの間読んだ『軽蔑』をなぜか今さら鈴木杏と某の俳優で映画化するというけれども、今の役者さんであの凄みが出せるのかなあ。鈴木杏は若いのに、ちょっと昭和っぽいけど。

 早坂暁『公園通りの猫たち』読了。
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 講談社エッセイスト賞を受賞した脚本家早坂暁の傑作。荻野目洋子主演でしょうもない映画になったこともある。作者はとうに亡くなってしまったが。公園通りの野良(作者のいうところの「自由猫」)の生態が生き生きと捉えられているが、野良であるが故の悲劇も多く、猫好きには涙なしには読めない部分も。それにしても、昔からこういう猫好きの人たちっているし、集まるんだよなあ。過剰な庇護はしなくても、ちゃんと見守って、何かあればちゃんと病院に連れいく人たち。

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hisa

中上健次は、人も作品も濃かったね。
by hisa (2011-06-22 05:54) 

あーる

hisaさん
昭和の濃さ・においですよね。割りに早く亡くなってしまったのが惜しまれます。
by あーる (2011-06-22 12:19) 

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