明暗くっきり

　井上ひさし『一週間』読了。

　シベリア収容所にとらえられた元共産主義者の、ロシア人たちへの抵抗の話。たった一週間の話だが、中身がぎっしりの大長編で、しかも飛び切りの面白さ！　それにしても、あんまり自国語の堪能な敵軍って、恐ろしいなあ。
おそらくこれも芝居になった話なのだと思うけれど、せりふの一つ一つがめちゃめちゃ凝っている。大変な知識の羅列だが、これでもものすごい引き出しを準備した中のほんの一部を使っているに過ぎないんだろうなあ。で、そうして知識を語ること自体が物語の面白さになっているし。

　押井守『ゾンビ日記』読了。

　というわけで、こっちが暗のほう。何が面白いんだ？　これ。知識を羅列し、ヤマなしオチなし。行帰りの電車で読み切ったからいいようなものだが、これ以上時間を無駄にされたら腹を立てるところ。で、たったこれだけの分量で、確か「初の長編小説」とか書いてあったような……バカじゃねーの。ガンマニアならちょっとは楽しめるのかなあ。アニメの業界の人だということを考えて、映像にしたら？　と考えても、やっぱりきっとつまらない。

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タグ：井上ひさし 押井守 一週間 ゾンビ日記 長編 傑作