美しいベトナム

　トラン・アン・ユン監督『夏至』を観る。

　フランスで生まれ育ったベトナム人監督によるベトナム映画。何とも雰囲気がある3人姉妹だけれど……なんか女性誌で特集されているおしゃれなベトナム感が満載ですごくきれいな映像であるのは間違いないけれど、そうたいしたことも起こらない映画なのだった。やっぱりこれは、アジア映画じゃないな。悪いとは言わないけれど。

　伊東潤『巨鯨の海』読了。

　今や風前の灯火の日本の捕鯨だが、古代捕鯨をめぐる6つの物語。捕鯨とは、まさに「神を狩る」ようなすさまじい生きるための闘いであったことがわかる。「鯨食ったからなんだっつーの」とか「日本の食文化」なんていう言葉では片づけられない命を賭した漁が迫力ある描写で語られていて、読みごたえがあった。ただ、これが翻訳されて外国で読まれたとしても、捕鯨復活につながる共感を得られるかどうかはわからないけれども。

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タグ：トラン・アン・ユン 夏至 ベトナム 伊東潤 巨鯨の海 連作短編 捕鯨