フィクションだけれど

　海堂尊『奏鳴曲　北里と鴎外』読了。

　『チーム・バチスタ……』他多数の作品で知られる医療ミステリの旗手たる作家だが、こういうのも書くんだな。どこまでがフィクションで、どこまでが史実かよくわからないけれども、読みやすく、また面白いのでまあよし。ただ、鴎外ファンは「えー」みたいなことになりそう。
　作者もあとがきで嘆いているが、医療技術の進歩はともかくとして、政治絡み、個人の主義主張絡みでちゃんとした医療を受けられず死者がどんどん出るというのは、とんでもないことだけどなあ。

　ケン・リュウ、藤井大洋他『七月七日』読了。

『三位』なんかが話題になって、中国のSFすごいな、と思っていたら、ファンタジーも面白い。また、韓国のSFもかなり来ている。いずれも若手の作家さんたちだが、最近あまりSFを読んでおらず、ファンタジーにも甘くて辟易していたので、これはとても新鮮。追いかけたい作家も出てくるかも。

　ジョージ・ソーンダース『リンカーンとさまよえる霊魂たち』読了。

　息子を亡くしたリンカーン大統領が納骨堂にこもったときのことを題材とした長編だが、どうもあまり馴染めず、楽しめず。リンカーンって、アメリカだと不細工という評価なんだな、とは思った。

タグ：SF 七月七日 森鴎外 ジョージ・ソーンダース 奏鳴曲 北里柴三郎 海堂尊 短編集 ケン・リュウ リンカーンとさまよえる霊魂たち 長編

コメント 4

森林太郎さん・・・もとい鴎外さん、ドイツ風のウィルス主義が祟って
オリザリン（現名ビタミン）の発見の邪魔をされていましたからね(w)
偉い方だったのでしょうが、やはり権力を持つと人間って・・・(^^ゞ
by kontenten (2023-10-09 17:17) 

kontentenさん
結局のところ犠牲になるのは市井の人々ですからねえ。医は仁術にあらずという感じがしてしまいます。
by あーる (2023-10-09 21:34) 

森茉莉さんのお父様、そんな側面もお持ちでしたとは・・・(￣▽￣;)
by 溺愛猫的女人 (2023-10-10 13:43) 

溺愛猫的女人さん
そうですね、この本を読むと、けっこう鴎外は悪者というか……プライドは高いけれども、よくない感じですね、軍医官としては。
by あーる (2023-10-10 18:20)