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惚れたら、地獄 [本]

 サンケイ新聞フジテレビ特別取材班 『陸軍伍長横井庄一 その28年のグアム島生活記録』読了。
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 先日ルバング島の小野田さんの本を読んだので、横井さんのも借りてみました。ずいぶん話題になったのに、本は読んでいなかったんだなあ、と改めて思いました。
 横井さんは小野田さんとは違って、陸軍学校で訓練を受けたような人ではなく、自分でお店を持つことを夢見て洋服屋さんで修行していた人だったのだ。自分で現地の材料から洋服地を織り上げて、背広を縫ったなんていうのには、とても感心した。それにしても、二人が死なずに帰ってきたのは、小野田さんは「スパイは死んだらいけない』という教育を受けていて、横井さんの場合は上官が「玉砕せよ」とかヘンなことを(当時は普通だと思うが)言わない人だったから、というのが印象深い。何にせよ、想像するよりほかはないが、28年間の孤独は深いのだろうなあ。

 杉浦日向子『うつくしく、やさしく、おろかなり』読了。

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 初版が2006年8月5日ということは、作者が2005年7月22日に46歳の若さで亡くなってから、ちょうど1年ほどで出た本ということになる。表題となっている文章は、『ちくま日本文学全集57』に収録されているらしい。不朽の名作半七捕物帖の作家・岡本綺堂について書きながら、自分と江戸の関係をもさらりと書いている。「江戸の知恵に学ぶ」なんていうのではなく、江戸は自分にとって「情夫」であり、死なばもろともと惚れる相手……とは、すごい表現だが、本当にそういう気持ちなんだろうな。「江戸は手強い。が、惚れたら地獄」とは、突き刺さるような書きぶり。うつくしさ、やさしさのほかに、おろかな部分まで含めて、心底惚れているのが、作者自身であると言っている。

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コメント 2

TAKUMA

横井さん、見つかった時、帰ってきた時の事、いまだに憶えてますねぇ。
by TAKUMA (2010-12-25 01:14) 

あーる

「恥ずかしながら……」のセリフ、本当に印象的でした。その後、TV番組でサバイバル生活とかやってましたよね。
by あーる (2010-12-25 09:51) 

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