去りゆく時代

　松井今朝子『銀座開化おもかげ草紙』読了。

　いつもながらこの人の知識というか、妥協を許さない考証には（多分）恐れ入る。去りゆく江戸を象徴する年上の女と、新しい時代を背負うお嬢様の対比が悲しくも哀れだけれども、個人的には女郎上がりの比呂の方をひいきしてしまう。薩摩っぽの無骨ながら心優しい巡査もいいキャラだった。

　群ようこ『れんげ荘』読了。

　この作者のエッセイじゃないのは初めて読んだ。短編で、さもない内容ながら面白い。この人も（作者も？）、母との確執があるのかなあ、なんて思うけれど。この手の古いアパートはけっこううちの周辺でも減ってきているが、結局最後に住み着いているのは独居老人が多いような……昔はこういうところに住んで、全然平気だったよなあ。

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