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人と職業 [本]

 松井今朝子『幕末あどれさん』読了。

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 杉浦日向子の『合葬』を思わせるシーンが出てきて、ちょっと泣ける。長編だが、気を抜かず書ききっていて、さすが。面白いです。同じ部屋住みの次男坊二人の運命の分かれ道を描いて、またこれが幕末という激動の時代とあいまって切ない。「侍」という職業というか、価値観そのものが崩壊していく時代。

 渡部陽一『ぼくは戦場カメラマン』読了。

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 なんかなあ、手に取ったら、この表情なんだもの。思わず借りてしまった。子供向けの本だが、戦場カメラマンとして出遭ったこと、そして世界の紛争についてわかりやすく書いてある。さすがに、「警察官になろう」とか「消防士になろう」とかいう職業入門本ではない。「カメラマンになろう」は作れても、親が「戦場カメラマンになろう」という本を買い与えるとは思えない。でも、この本自体はなかなかいい出来。こどもニュースを彷彿とさせる。

 鴨志田穣『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』読了。

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 作家になりたかった作者は、こういう形でしか小説を書けなかったのかと思うと悲しい。それにしてもアルコール中毒は、怖い。元夫が亡くなってから西原理恵子は、「アル中は同情されないが、いつ誰がどうやってなるかはわからない病気だ」と言っていた。渡部陽一さんの本を続けてこの本を読んだのは偶然だけれど、同じ戦場カメラマンでも渡部さんはアル中ではないし、戦場カメラマン全員がアル中になるわけでもない。小説の中には様々なコンプレックスが出てくるが、同様のコンプレックスを抱えた人がみなアル中になるのでもないのだろう。やはりこれは、「病気」なんだろうな。もう一方でこの本は、夫婦愛のお話しでもあるのだけれど。



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