知られざる歴史

　龍應台『台湾海峡一九四九』読了。

　これは、買おうかなと思う本。毛沢東が人民を前に「中華人民共和国、現在成立！」と叫んだ陰に隠された血の歴史……文革の悲惨さや、最近はようやく大躍進等の政策の誤りの恐ろしさも伝えられるようになったのに、遠藤誉先生があまりのことに記憶から消していた長春包囲戦や、国共内戦、そして台湾人日本兵たちのボルネオなどはまだまだ語られてこない。作者は丁寧に丁寧に聞いて書き留めているが、だんだんとその記憶を持つ人もいなくなり始めている。「あのとき生きながらえたのは、このインタビューの依頼の電話を受けるためだった」というような言葉がかつて戦いの中で辛酸をなめつくした老人の口から語られる……資料的にもめったにないノンフィクション。やっぱり買おうかな。

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