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またためてしまった [本]

 片上徹也『夜しか開かない精神科診療所』読了。

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 新宿歌舞伎町にも同じようなメンタルクリニックがあるようだが、こちらは大阪アメリカ村。同様に深刻な心の病を抱える人の駆け込み寺となっているが、こちらは割とライトな感じで病院を運営しているようだ。だが、たとえ病院側はどうであれ、変な逆恨みはつきものなので、志の高い分、用心してほしいと思う。

 宇江佐真理『髪結い伊三次捕物余話 月は誰のもの』読了。

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 派手さはないが、しんみりと心にしみる短編。ドラマの鬼平なんかもそうだけれども、犯罪を犯す側にもいろいろ理由があるんだよなあ。そんな悲しい犯罪者に死亡フラグがたっている気がしてひやひやしたが、杞憂に終わってよかった。

 階戸照雄『いまこそなりたい通訳・通訳ガイド』読了。

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 通訳ガイドは遠い昔資格を取ったが、語学を仕事にするには、乙川優三郎『ロゴスの市』を見て、こんな厳しい世界はとても自分には無理、と思ってしまった。この本には大学時代の同級生が、英語の会議通訳となってインタビューを受けた内容が載っているので、借りて読んでみた。中国語のクラスでもトップエリートだったけれども(中国語における"very good"のあだ名を頂いてた)、さらにさらに努力を重ねたんだなあ、と感慨深い。最近facebookで再開したが、相変わらず合唱もやっているみたいだし。

 宇江佐真理『伊三次捕物余話 竃河岸』読了。

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 こちらも同様のシリーズで、本編のほうではまだ惚れたはれたをやっていた伊三次とお文がすっかり夫婦としての貫禄を蓄えている。が、まだ若干気は若い。それと、若い同心や嫁の活躍があって楽しかった。それにしても、こんなに人間の心の機微をうまく書いていた作家さんだったので、早くなくなったのは本当に惜しい。

 アルフィアン・サアット『マレー素描集』読了。

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 マレー系シンガポール人の作者による掌編~短編が集まっている。もう長いこと訪れていないマレー半島だが、マルチ・カルチュラルで楽しい場所である分、作者の言うところの「四つの孤独」のような文化的・言語的分断もあって、特にシンガポールにおいてはムスリムの文化を持つマレー人はあまり生きやすくない面があるのかな、と思ったり。

 藤野千夜『団地のふたり』読了。

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 前に読んだ『じい散歩』同様、ほのぼのしているようで何か物悲しいというか裏寂しいというか、滅びに向かう前の一時の楽しさというか……面白いけれど、少し悲しい。でも、先のことが不安なのは誰でもそうだし。


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溺愛猫的女人

足を痛めてから図書館に行けず(T_T) 悲しいです。着払いで送ってくれないかな。
by 溺愛猫的女人 (2022-11-12 21:05) 

あーる

溺愛猫的女人さん
あ、そうか。目黒区は最近電子書籍を始めていますが、区民しか借りられません。そちらはやっていないかな?
by あーる (2022-11-13 14:25) 

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